脳血管疾患+心臓リハビリテーション

2019年に成立した『脳卒中・循環器病対策基本法』では、国民の死因第2位の心臓病を含む循環器病と、死因第3位かつ寝たきり原因第1位の脳卒中とを合わせた、包括的な基本法の法制化が行われ、その中では“健康寿命の延伸”や“再発・重症化予防”の理念が掲げられています。

これは、両疾患の原因と予防策に共通点が多く、発症後の迅速な治療だけでなく、継続的なリハビリや生活習慣の改善によって再発を防ぎ、生活の質を高めることが重要とされています。

当院は、脳神経外科と循環器内科を併設する、地域でも数少ないクリニックで、循環器と脳神経外科の専門性を活かし、予防からリハビリ、再発防止までを一貫して支援できる体制を整えています。

この度、新たに開設した心臓リハビリを中心に、脳と心臓の両面から患者さまをサポートいたします。

2025.10.1
院長/脳神経外科 髙橋 一則

リハビリ

心臓リハビリってなに?

心臓リハビリ(心リハ)は、有酸素運動を中心とした運動療法を行いますが、それだけではありません。

心臓や大きな血管の病気を経験した患者さんに対して、心臓の機能を回復させ、生活の質を改善し、再発を防ぐため、病気について学んでいただいたり、食事や生活の助言や相談などを、複数の専門職が関わりながら患者さん一人ひとりに合わせたサポートを行います。

脳神経外科や整形外科のリハビリは、生活に直結し効果が目に見えやすいものですが、心臓リハビリは続けることで、息切れなくできる活動が少しずつ増えていきます。さらに、病状の悪化や再入院を防ぐなど、体の中で確実に積み重なるリハビリです。

自分では、どんな運動をしていいか分からないという方にも、心臓リハビリ専門医や理学療法士がエビデンスと検査データに基づいて、安全で効果的な運動処方を行います。

心臓リハビリ プログラム例

対象となる患者さんは?

  • 急性心筋梗塞
  • 狭心症
  • 冠動脈バイパスや弁膜症などの開心術後
  • 慢性心不全
  • 末梢動脈閉塞性疾患
  • 肺高血圧症

6つの心臓疾患・大血管疾患が対象になります。

心リハの効果

心臓リハビリには、研究により下記のような効果が期待されています。

  • 血管の拡張、心臓の機能改善
  • 交感神経の緊張を緩和
  • 息切れや疲れやすさの軽減
  • 再入院や再発のリスクの低減

その他、不整脈の抑制、認知機能の改善、心疾患の原因となる生活習慣病の是正など、心臓リハビリの効果は心臓外のことも含め多岐にわたることが報告されています。1-6)

心リハの効果

参考文献

1.Taylor RS, Dalal HM, McDonagh STJ. The role of cardiac rehabilitation in improving cardiovascular outcomes. Nat Rev Cardiol. 2022;19(3):180-94.
2.Belardinelli R, Georgiou D, Cianci G, Purcaro A. Randomized, controlled trial of long-term moderate exercise training in chronic heart failure: effects on functional capacity, quality of life, and clinical outcome. Circulation. 1999;99(9):1173-82.
3.Fujiyoshi K, Minami Y, Yamaoka-Tojo M, Kutsuna T, Obara S, Aoyama A, et al. Effect of cardiac rehabilitation on cognitive function in elderly patients with cardiovascular diseases. PLoS One. 2020;15(5):e0233688.
4.Fernandes-Silva MM, Almeida FDM, VM DA, Gellatti MP, Guimaraes GV. Cardiac rehabilitation in patients with heart failure: clinical recommendation based on a review of the evidence. Heart Fail Rev. 2025;30(6):1435-42.
5.Malmo V, Nes BM, Amundsen BH, Tjonna AE, Stoylen A, Rossvoll O, et al. Aerobic Interval Training Reduces the Burden of Atrial Fibrillation in the Short Term: A Randomized Trial. Circulation. 2016;133(5):466-73.

心リハの普及率について

脳卒中リハビリや整形外科でのリハビリと比べて、知名度は非常に低く、ご存じない方も多いのでは無いかと思います。

心リハは心不全や心筋梗塞などの再発予防に有効であるにもかかわらず、私たち医療従事者の間でもこの認知不足が問題視されており、実際に心リハの利用率は心疾患での入院中でも約33%、 外来での利用率はわずか7% にとどまっています。

これは、ご自宅の近くに心臓リハビリを提供しているクリニックが少ない、ということも理由の一つとなっていました。より多くの患者様に情報が届き、心リハを広めていければと考えています。

Kamiya K et al. Nationwide Survey of Multidisciplinary Care and Cardiac Rehabilitation for Patients With Heart Failure in Japan - An Analysis of the AMED-CHF Study. Circ J. 2019 Jun 25;83(7):1546-1552. より一部改変し作成

施設案内

心臓リハビリについて

心疾患以外の既往歴についても予めご確認し、理学療法士が患者さんごとのリハビリメニューを考えるようにしています。

心臓リハビリについて

有酸素運動は心肺機能の改善にとても有効です。当院では心肺機能検査などの結果から、安全かつ、最も効率的な負荷の量と内容を決定します。

心臓リハビリについて

栄養分析や専従の看護師による生活相談など、心・血管疾患の原因となる生活習慣病についても、サポートいたします 。

心臓リハビリテーションの目標は?

心臓リハビリの目標は、心臓疾患を患った方が、ご病気になる前と同じように不安なく、楽に、穏やかな毎日をおくれるようになることです。


『しんどいのは心臓の病気と年のせいで、しようがないと諦めている』
『運動をしないといけないのはわかっているけど、心配でどのくらい動いていいの分からない』
というお声を外来でよく耳にします。

心臓のご病気のなかには、手術や薬で比較的早く回復するものもあれば、残念ながら、再発を繰り返したり、なかなか良くならない慢性のものもあります。例えば、慢性の心不全では、年齢とともに少しずつ悪くなり、そのうち入退院を繰りかえし、最後は体力が落ちてしまって、、という、経過を辿ってしまうことがあり、これは高齢化に伴う社会的な問題にもなっています(下図)。

循環器の外来では、そういった悪循環に陥ってしまわないよう、エビデンスのあるお薬治療を行うとともに、生活の中での注意点などをお伝えしています。しかし、実際には、ご自身で適切な運動をおこなったり、生活スタイルを変えるというのは簡単では無いことも確かだと思います。

当院の心臓リハビリでは、安心して出来る安全な運動量と内容を体験しながら知って頂き、しんどさが少しでも取れて生活が楽になるようにリハビリスタッフチームがサポートいたします。そして、心臓のご病気の再発や悪化を予防しながら、いつまでも自信を持ってしたいことが出来る自分でいられるよう、患者様のお力になれればと思っております。

当院のリハビリについて、ご興味やご不明な点がある場合には、お気軽にご連絡ください。

心臓リハビリテーション学会指導士 循環器内科専門医 高橋 生
リハビリスタッフ一同