病気マメ知識

BNP,NT-pro BNPについて


BNP,NT-pro BNPは左心室の内圧上昇に伴い上昇するため、心不全の診断や治療効果を判断するのに有用です。

血液検査で簡単に測定可能で、特に、

「心機能が低下していない心不全(HFpEF;ヘフペフといいます)」

「高齢で活動量が少なく症状がはっきりしない心不全」

「心不全の前段階(心不全stage B)」

など、通常では診断が難しい病態も早期に検出することが可能です。

【正常値について】

基準値は2023年に、日本・ヨーロッパ・アメリカの学会により合同で改定・決定されました。

BNP ≧35pg/mL、NT-pro BNP ≧125pg/mL⇛前心不全または心不全の可能性があり、専門医での評価、治療や心不全予防をしていくべき

BNP≧100pg/mL、NT-proBNP≧300pg/mL⇛心不全の可能性が高い

BNP≧200pg/mL、NT-proBNP≧900pg/mL⇛高リスク心不全の可能性が高いとされています。

【注意点】

①ARNI(エンレスト)内服中は8~10週目にBNP値の上昇がみられ数値の解釈に注意が必要です(ただし、その上昇は一過性で、その後の心不全の慢性期管理においてはBNP/NT-pro BNP値はどちらも有用とされています)

②収縮性心膜炎、僧帽弁狭窄症、発作性の不整脈、虚血性心疾患、高度肥満などを伴う心不全など、一部の心疾患では心不全の程度を過小評価してしまうことがあります

③いっぽうBNP/NT-pro BNPは腎臓で代謝されるため、腎臓が悪い患者さんは見かけ上、数値が上がることがあります。

これらの注意点を考慮しつつ、症状や検査結果などを総合的に判断する必要があります。 

前心不全は癌で例えるなら前癌病変ということになり、早期発見・早期治療が重要です

症状が無くとも、生活習慣病などのリスクを持っている患者さんは少なくとも年に1回のBNP/NT-pro BNPの血液検査をおすすめいたします。

BNP/NT-pro BNP↑

関連記事